かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

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「勉強の秋」 新潟に行って参りました。

   10月もいよいよ後半。朝夕が涼しくなり、空は青く高く澄み渡り、1年で最もすごしやすい季節ですね。ここ薩摩川内では、稲刈りがひと段落。田の神さま(地元では“たのかんさあ”と呼ばれております)もホッとされているご様子です。今回利用したANAの機内誌「翼の王国」に鹿児島全域・南部宮崎の「田の神さあ」を取り上げてくれておりました。なんと、ご近所の公園の田の神さあも写真に出ておりましたね。びっくりです。

 毎年秋は、全国的に様々な分野で学術発表会や総会が開かれます。私たち耳鼻咽喉科もこの季節は全国の色々な所で学会(医者の間では「ガッカイ」と言ってます)が開かれます。大半の耳鼻咽喉科医が所属するのが、日本耳鼻咽喉科学会(日耳鼻)http://www.jibika.or.jp/です。ちなみに本邦の医師数は30万人くらいで、そのうち耳鼻咽喉科医は9千人弱です。このうち4割が大学や病院の勤務医、6割が私のような診療所の開業医です。毎年200人程の医師が新たに耳鼻咽喉科医を目指し、日耳鼻に入会しています。耳鼻咽喉科は、聴覚・平衡感覚・嗅覚・味覚・音声など生活の質に大きく関与する感覚器を取り扱います。守備範囲は、意外に広く、頭部(脳・目・歯を除く)から頸部(頸椎や脊髄疾患を除く)までで、最近は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科ということもあります。その範囲から内容も多様で、耳鼻咽喉科の学会は、日耳鼻を柱に、そのほかに16もの関連する学会があります。

先日、その中の一つである日本耳科学会の第24回日本耳科学会総会・学術講演会(新潟市朱鷺メッセhttp://gakkai.co.jp/jika24/index.html)に参加して参りました。この学会は、耳鼻咽喉科の花形!「耳」のスペシャリストの会(会員3千人弱)です。日本の最先端で最新の「耳」の医学情報を勉強できます。今回は、新潟大学耳鼻咽喉科が担当でした。全国学会は、出身大学の先生との再会や知人・友人との意見交換はもちろんのこと、担当が大学を中心に毎回変わりますので、全国のいろんな場所を訪れる楽しみもあります。

   今回の参加は、3つの目的がありました。1つは、側頭骨ハンズオンセミナー参加、2つ目がエキスパートの先生の話を聞くこと、最後に旧友との交流です。

その1:側頭骨ハンズオンセミナー

自分の知識の確認とスキルアップです。勤務医時代は、毎週2回は手術日で、必ず何かの手術を行っておりましたが、開業医になって早6年。コンスタントに手術を行えないのが現状です。医学は、日進月歩で進化します。このためには、自ら時間を割いて、努力しなければなりません。今回のハンズオンセミナーは、1回6名限定で、16日と17日の午前・午後の計4回の開催でした。申し込みの概要に「若手学会員の教育のために・・・」と記載されていたので、若干の不安がありました。事前申し込みが必要でしたので、申し込み時に「もう50の開業医で、そう若くはないのですが・・?(さすがに、“魂はまだ今の若いもんには負けません”とは言えませんでした)」と尋ねたところ、「何も問題ありませんよ!」と快く?受けてくださいました。ありがたいことです。17日の午前中でしたので、朝1番に受付を済ませ、参加者メンバーを見ると、やはり・・・。まあ、そんなことは気にせずに、50分のレクチャー後、いよいよ実習です。一人につき手術顕微鏡(ライカの最新モデル)と耳手術用ドリル(メドトロニックの最新モデル)が与えられました。これだけでもかなりの贅沢です。インストラクターも大学病院等で、現在耳手術を積極的に行ってらっしゃる若手の先生がついてくださいました。感謝、感謝です。注目の側頭骨ですが、なんと新潟大学の高橋 姿教授(今回の学会会長)をモデルにした今話題の「3Dプリンター」で作成したものでした。

中耳・内耳・顔面神経・血管が見事に再現され、しかもわかりやすいように色分けされておりました。また、削った感覚も、本物の骨とほぼ同じでした。2年前、山形大での耳内視鏡手術講習会の3Dプリンターでの側頭骨に感動しましたが、今回はそれ以上のものでした。技術進歩はもちろんのことですが、このモデルを多忙な大学病院での診療や教育の合間に開発した高橋邦行先生(写真左から2人目)には、大拍手を送りたいです。このような努力が今後の耳手術の教育や研究に役に立つと確信いたしました。

その2:エキスパートの先生の講演を聞く。

 まずは、名古屋市立大学耳鼻咽喉科http://w3hosp.med.nagoya-cu.ac.jp/section/department/jibiunkou/ 村上信五教授の「聴神経腫瘍への対応-明日の側頭骨外科医のために-」というシンポジウムです。村上先生は、1998年、私が愛知医大耳鼻咽喉科に在籍していた頃、名古屋市立大耳鼻咽喉科教授として、当時、愛媛大から名古屋に来られた先生です。とても気さくな方で、顔面神経と聴神経腫瘍手術のスペシャリストです。聴神経腫瘍は、発生頻度10万人当たり1人程度という、きわめてまれな病気です。難聴・耳鳴り、めまい、あるいは顔面麻痺で、患者さんが自覚され、初めに耳鼻咽喉科を受診されることも多いです。良性腫瘍ですが、大きくなると命に関わる病気です。近年の検査、特にMRIの画像診断の進歩で、かなり早期に発見されるようになりました。耳鼻咽喉医としてご自身が何をやられてきたのか、また、これからの聴神経腫瘍の治療・手術治療を担う若手医師に対する熱いメッセージが聴けました。

  もう1つは、名古屋市立大病院睡眠センター(Good Sleep Center;ぐっすりセンター と呼んでとのことですhttp://2st.jp/goodsleep/index.html)のセンター長:中山明峰先生の「めまいと睡眠障害」のセミナーです。愛知医大時代の上司で、今もお付き合いさせてもらっている先生です。耳鼻咽喉科医ですが、もともとはめまいの専門家です。メニエル病の患者さんで、睡眠障害の傾向のあること。また、睡眠障害の治療により、難治性のめまい症状や、聴力も改善してしまったことをすでに学会報告され、睡眠の大切さを話されました。また、誤った睡眠剤の使用によりかえって、うつ病やパーキンソン病様の症状が出てしまう可能性があることも、多くの聴衆の耳鼻科医にとって衝撃的なことでした。睡眠障害は、これからも急増する病気であり、多くの患者さんを相手にする、特に開業医は新しい知識を取り入れていかねばならないと改めて痛感いたしました。

その3:旧友に会う

 愛知医大耳鼻咽喉科の植田教授をはじめ愛知医大の先生方と、新潟の美味しい食べ物とお酒で、楽しいひと時を過ごしました。これも全国学会の楽しみの一つです。

 *写真は、衝撃の新潟ソウルフード:ナポリタン&かつ丼です。しっかり味覚に記憶いたしました。新潟は、名古屋のある愛知県と同じ中部地方になるのですが、今回私にとって、初めての新潟でした。日本一の信濃川、そこに広がる広大な新潟平野、目の前は日本海と、雄大なスケールを感じさせる地でした。新潟大をはじめ、新潟の皆さん、良い思い出をありがとうございます。