黄砂でアレルギー?
5月になり、ここ薩摩川内市は初夏の陽気です。連休後半も天候に恵まれ、半袖でちょうどいいくらいです。
春の花粉シーズンは終わりですが、この時期は、黄砂によるアレルギー症状の悪化が指摘されています。黄砂は、主として中国の乾燥地帯(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠)や黄土地帯で強風により吹き上げられた多量の砂塵が上空の風に運ばれ、遠く離れた地域に降下します。黄砂は日本では1年中観察されますが、特に偏西風の強い3~5月に多く、濃度が濃い場合は、空が黄褐色となり、視界が悪くなります。以前は春の風物詩でしたが、最近は、健康への影響が指摘され、アレルギーを持っている方にとって無関心ではいられない問題です。黄砂自体は、アレルゲンにはならないのですが、問題なのはただの砂ではないことです。黄砂粒子を分析すると、アンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどが含まれ、これらの物質は大気汚染の原因にもなっており、さらにカビも含まれているとの報告もあります。愛知医大時代の同僚の佐藤達明先生(現在、島根で開業)は、島根地方でのスギ花粉症が黄砂で悪化したとの臨床データを2009年に耳鼻咽喉科臨床学会で報告しています。花粉症が、例年よりひどい場合やなかなか治らない場合は、もしかしたら「黄砂」の影響かもしれません。なお、黄砂の情報は、環境省黄砂飛来情報や気象庁黄砂情報で毎日チェックできます。
追伸;鹿児島のシンボル桜島。観ている分には雄大でとても美しいのですが、そこに住む人々はいつも火山灰に悩まされます。ここ数年の噴火は異常に多く、昨年は年間1355回の観測史上最多の噴火が記録されました。今年は4月までに548回です。ここ薩摩川内は桜島の北西50kmですが、風向きによっては火山灰が降ってきます。現在のところ、公的には健康被害との因果関係は認められていないとのことですが、臨床的にはアレルギーや喘息の症状が悪くなる印象です。国際火山健康ハザードネットワーク(IVHHN)のガイドラインでは、火山灰が健康に与える影響について記載さてれおり、やはり注意をしたほうがよさそうです。