かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

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2023 夏 睡眠科とモーニングとミラカンと

2023夏。

お盆休みを8月13日~20日の1週間、普段より少し長めに取りました。愛知医大病院睡眠科での研修を受けるためです。新型コロナの取り扱いが、2023年5月8日より第5類相当になり、様々な制限が軽減されたことで気分的にずいぶん楽になりました。また、お盆期間中も大学病院は休診ではないことや、個人的に今年がアラ還(59歳)で、視力や体力など身体能力の衰えを確実に感じ始め、自分のこれからの医師としてのキャリアを考えたことも一因です。目指すは睡眠学会専門医の取得で、今回はその第一歩。開業医ではなかなか1週間の休診期間をとれないのですが、今回しかないとの強い想いで決心いたしました。

◊ 今回お世話になった愛知医大病院睡眠科について。

2000年、先代の塩見利明教授が、日本の大学病院で最初の睡眠センターを愛知医大に開設されました。初めは睡眠時無呼吸を中心とした睡眠障害の検査・診断が行われました。当初から耳鼻咽喉科との関わりがありました。2008年には日本初の睡眠科が開設され、さまざまな睡眠障害まで取り扱うようになりました。近年、睡眠障害は生活習慣病との関連が深いことも明らかにされてきました。最近では、コロナ禍での巣ごもり生活、在宅勤務、WEB授業など対面が取りづらい時代を経て、TVをはじめ多くのメディアでも睡眠の大切さや睡眠障害の話題が多く取り上げられるようになってきました。

(参照;愛知医大病院睡眠科の情報 https://www.aichi-med-u.ac.jp/hospital/sh04/sh0401/sh040113/index.html)

2019年冬、武漢での新型コロナの感染が始まり、翌年、瞬く間に世界が大きく変わってしまいました。全国的に耳鼻咽喉科と小児科の外来におけるダメージはかなりのものでした。2020年からの新型コロナの3年間で、耳鼻咽喉科外来の診療スタイルが大きく変貌しなければなりませんでした。当初、新型コロナがどんなものなのか正確な情報が少なく、クリニックでの感染対策の方法や手段も手探り状態でした。さらに検査キットやワクチン、コロナ治療薬等、何もありませんでした。アルコール消毒やマスク、手袋や予防衣も市場から無くなり、ネットでの高額な商品(転売価格?)を買って何とかその場をしのいでおりました。学会参加や渡航は制限され、世の中の人流は激減。どこに行ってもガラガラで、懇親会や食事会、さらに健康維持のためのスポーツジムへも行けず、とても息苦しい、ストレスフルな時代でしたね。

その後、新型コロナの殺伐とした数年が過ぎ去りました。2022年早春、地元鹿児島の南日本新聞のフリーペーパー情報誌「Felia フェリア」から睡眠についての取材を受けたことがありました。睡眠学会専門医でもない私になぜ・・・?と半信半疑のうちに準備をして取材が終わり、フェリア6月号の特集『心地よい眠りって何だろう?睡眠の専門家に聞きましたhttps://felia.373news.com/283780/ 』というタイトルで1面に掲載、上手にまとめられた記事になってしまいました。まさにプロの編集者のなせる技ですね。“睡眠の専門家”なんて書かれるのは、いささかむずがゆいような、恥ずかしいような、妙な感じでした。

かみむら耳鼻咽喉科で2008年より睡眠時無呼吸のCPAP治療を行っております。10数年でCPAPの患者さんが徐々に増えてきており、このことが新聞社に伝わっていたようです。後日調べてみると、この薩摩川内地域に日本睡眠学会専門医がいないこと(鹿児島県では6名のみ)、さらに日本睡眠学会専門医療機関が、鹿児島市のかごしま高岡病院のわずか1カ所しかないこと(*全国117機関)を知りました。睡眠時無呼吸の多くの患者さんをこの地域で診断・検査・治療している私自身が「ここは何とか気ばらんといかん」という結論に至りました。

そこで“まずは基本を学ぶべし”という想いから、睡眠の登竜門である日本睡眠学会への入会です。20数年前の愛知医大在籍中に、中山明峰先生(めいほう先生)に弟子入りして睡眠をしっかり勉強して、専門医まで取っておけばよかったかなー・・・と後悔しても、もう後の祭り。こうなれば困ったときの同級生頼みです。1984年医大入学のクラス会(84会)でしばしば連絡を取っている愛知医大の同級生の篠邉龍二郎先生(ジロー)が愛知医大病院睡眠科の教授になっていました。

早速彼に連絡し、2022年秋に日本睡眠学会に無事入会いたしました。「出来れば夏休みに睡眠科に研修させてくれないか?コロナの感染状況にもよるけど・・・」とジローに相談したところ「いいよー」とのことで睡眠学会専門医取得を目標に、アラ還にして、今回の新たな挑戦!?が始まったのであります。
日本睡眠学科のホームページの睡眠医療認定【新規】申請の項目に、日本睡眠学会専門医に関する詳細が記載されており、全部で9項目があります。なかなかハードルは高そうです。特に以下の2項目が難題です。

①日本睡眠学会の3年間以上の会員歴を有し、定期学術集会に3回以上は参加していること。

②日本睡眠学会専門医になることを申請した者につき、審査(筆記試験、実地試験、及び、異なる種類の睡眠障害5症例についての症例報告書の審査を含む)を行い、日本睡眠学会専門医を認定されます。

このため、入会後すぐには専門医を取得することは出来ません(最短でも入会後3年)。睡眠障害5症例についてのレポートには、症例報告書についての指導を行った日本睡眠専門医の署名・捺印が必要ですので、睡眠認定医が在籍し、睡眠外来を行っている医療機関での勤務(研修)が必要となります。

 

2023年8月14日(月)

研修初日の朝、6時にセットした目覚ましよりも早めに起床。久しぶりに名古屋のFMラジオZip FM 77.8にチューニング。「Goood morning zippy!!」ジェイムス・ヘイブンスさんのお決まりの朝の挨拶が聴けると思いきや、そこには他の男性の声が・・・。20年以上前の番組ですので、さすがに世代が交代しているようで少し残念なスタートでした。

名古屋式のモーニングをいただき、名古屋駅近くの宿から、これまた懐かしの東山線の地下鉄に乗り、終点藤が丘下車。到着が早すぎたため愛知医大スタバで、さらにカフェラテとドーナツのモーニングセットを取り、ガソリン超満タンで、中央棟3階34番の睡眠科外来に向かいました。受付でセキュリティーカードを受け取り、持参した自院のユニフォームに着替え準備完了。ルックスはだけは大学病院でも怪しくない雰囲気?をかもし出せたと思います。

今回のミッションは3つ。

① 愛知医大病院睡眠科での研修

② 医局後輩の先生や同窓生(84会)との交流

③ 可能ならば、めいほう睡眠めまいクリニックの見学

直前の週末の天気予報では、来週名古屋に台風も直撃するかもしれないとの予報で、すべてできないかもという気持ちで名古屋入りしました。

 

♦ 愛知医大睡眠科での研修(8/14~18)

外来を中心に篠邉教授(ジロー)の診察に同席させてもらいました。研修期間中に100人近くの患者さんの診察をみせてもらいました。また17日(木)夜間には、本館7階睡眠センターでの検査(PSG)の見学を行いました。この日は4人のPSG検査でした。実際の測定機器の取り付けや測定データの変化を贅沢にも教授の解説付きで勉強させてもらいました。検査技師さんがとても優秀で、スムーズな検査装置装着はもちろん、データに適切にチェックを入れておられました。夜間で大変な労力の検査を目の当たりにして「これからはPSGのレポートの結果をもっとしっかり見なければ・・・」と反省いたしました。

私が愛知医大に勤めていたのはもう20年前。病院もすっかり新しくなり、最新の設備で当時とは別の場所にいるかのようでした。窓から眺める立石池や長久手の景色もずいぶん変わってしまい時代の流れを実感しました。

最終日の18日(金)、前日が夜間遅かったので、朝のんびりと名駅近辺を散策し、一日中モーニング?を出している喫茶リヨンまで足を延ばしてみました。8時オープンとのことで到着時はまだ開店前のためここは断念。途中駅のカフェに立ちより小倉あんがのったトーストのモーニングセットを注文。朝食中に長久手で開業している鈴木薫先生(かおる)に連絡を取ってみました。

お子様を意識されたクリニックづくりをされているのを先生のHPで拝見したことがあり、実際にどんなものなのか興味を持っておりました。この日「かおる耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニックhttps://www.kaoru-jibika.com/ 」はお盆休み明け初日だった事もあり、外来はお子さんを中心に大盛況。12時過ぎから待合室でしばらく待っておりましたが、なかなか午前診療が終わりそうありませんでした。午後1時過ぎに受付に時間がないことを説明し、ようやく面会できました。久しぶりの再会でしたが、そこには相変わらず!?のかおるが存在し、こちらも元気をもらいました。実は新型コロナの始まったころ、当院でオンライン診療をどうするか迷っているときに相談したのが、かおるでした。彼のクリニックではいち早くオンライン診療をとりいれていたのです。今回も御多忙中にもかかわらず、相手をしてくれてありがとうございました。

私が名古屋に行くときには、必ず声をかけている84会(愛知医大クラス会)の主力のメンバーには、今回は研修のため(2日酔いの危険性等考慮し?)、声をかけませんでした。ちょうど名古屋に台風が接近し、15日火曜日の夜は、新幹線や名駅のデパート、地下街や飲食店もすべて臨時休業になり、夜間徘徊?のチャンスも無くなりました。宿に戻って、駅で購入したお弁当を取り、お酒の量も減り?かえってよかったのかもしません。

♦ めいほう睡眠めまいクリニック(8/19)https://www.suimin-memai.com/

3年前に開業され、名古屋駅のすぐ近くにあるビルの11階にある、全国で唯一のめまいと睡眠のクリニックです。愛知医大での研修することが決まった今春に、名古屋に行くことを連絡しておりました。御多忙な先生ですので、今回名古屋に到着してから、先生のご都合を伺ったところ、週末19日の見学OKとのお返事でした。土曜午前の4時間で20名ほどの診察で、お一人お一人を丁寧にわかりやすく納得のいく診療をされておりました。患者さんとの話もスムーズで「さすが中山先生!」と大きな刺激を受けました。

後日、めいほう睡眠めまいクリニックHPの院長ブログに、今回の私のことを書いてあるのに気づきました。うれしいような恥ずかしいような気持ちです。わずかな時間でしたが貴重な財産になりました。

嗚呼 なごやめし!!

愛知医大に入学した1984年の頃は、タモリさんが名古屋のことを「みゃーみゃー、エビふりやー」といじっていたことをご存知でしょうか?当時、名古屋駅で味噌煮込みうどんを初めて食べたのですが、鹿児島育ちの若者にとっては、なんとも・・・。普通の鍋焼きうどんとは全く異なる代物です。土鍋でグツグツ・アツアツなやや硬めの太麺をどうやって食べるのかと不安になり、周りの人々を観察しておりますと、アツアツ麺を蓋に載せて食しているのです。「なるほど、これでアツアツを冷ましてから食べるのか」とガッテンしたのを覚えております。あれから2003年まで名古屋で生活しましたので、すっかり体は八丁味噌がないと物足りなくなってしまいました。30年前、なごやめしは今ほど全国区ではなかったように思います。2005年の愛・地球博のときからなごやめしブームが起こり、ここで全国に広がったようです。

私自身、医大生になってから定食屋や居酒屋は大好きで、4年生になると秋からは部活は引退のご身分となり、放課後の自由な時間が増えました。B級グルメ探求の黎明期です。

講義が終わるや否や、飲み仲間で空手部、なぜかクラシック大好きのタカハシとつるんで、藤が丘から地下鉄に乗り込み西へ向かうのです。夕方のまだ日が明るい頃から、まずは大須の串カツのさかえ亭から始まり、百老亭、やきとり角屋、たまにはキッチントーキョーや御幸亭をはしご、それから地下鉄で今池の百老亭で大須店とのぎょうざの違いを噛みしめ、ドイツビールのカイザーを行脚。さらに池下の当時は屋台だった當り屋の味噌串カツを食し、最後に藤が丘に戻り、しめは味仙の台湾ラーメンと贅沢なはしご酒ツアーを慣行しておりました。ツアーに出ると、だいたい一度に3-5軒のはしごです。

ある日、本郷のいわし亭でのカウンターでいつのように2人で飲んでおりました。医大生時代ですので、教授や先輩の悪口や大学の文句等、タカハシと2人でワイワイと盛り上がってしゃべっていると、隣の白髪の紳士風の方から「お兄ちゃんら、元気で話がおもしろいね!若ってのはいいねー、今日は飲んでいって!」とおごっていただいたこともありましたね。どちらがボケでどちらがツッコミかは定かではありませんが、タカハシは酒が入るといつも饒舌でした。もちろん翌日は2日酔いで、講座技術員から出席カードをゲットするだけのために、講義の時は後ろの席で、2人してぐったりとよどんでおりました。

当時はほんとによく食べて飲んでました。この医大生時代の貴重な?経験から、旅や知らない土地を訪れるとなると、まずはどこか安くてうまいお店を探すことから始める習慣が出来あがりました。今ではネットで簡単に検索できるようになり、本当に便利になりました。

今回1週間の滞在中、なごやめしを十分堪能しました。研修初日の夜は、宿近くの名駅の『名古屋うまいもん通り』で、名古屋コーチンのねぎまをあてにまずは生ビールを一杯、味噌煮込みうどんで腹ごなし。まだまだ余裕があり、2軒目ではあんかけスパのミラカンを食し大満足。血液が完全に20年前の名古屋にいたときの感覚に入れ替わった瞬間でした。

ジローは学生時代からあまりお酒はたしなまず、新型コロナが始まってからは、大学病院でのランチはコンビニ弁当でさっと済ますとのこと。院長職の今の私の昼と全く同じパターンでした。

今回の研修中は私が「せっかくだからランチや夕食を共にしよう」と提案しました。まずは中央棟にある職員食堂からはじまり、学食のオレンジ、アメニテー棟のピサランチ、さらに大学前のスタバでコーヒーブレイク。夕食は、学生時代住んでいた本郷にあった南欧料理のアンジュです。まだお店が存在しているとネットで調べて知っておりました。私が医大2年の1985年、ご夫婦でオープンしたばかりのおしゃれなお店でした。長久手の下宿から一人暮らしを始めた本郷の高柳マンションのすぐ近くにあり、前を通るとガーリックとオリーブオイル、バターのいい香りがしており、生意気にも一人でランチを食べに行くこともありました。PSG検査見学前の晩飯は、これも学生時代からあったキッチンオニオンに付き合ってもらいました。2軒とも当時の雰囲気のままで、味も香りも空気も最高でした。

最後の夜はセントレアの若鯱屋でしめ、今回の研修期間で、頭はもちろんお腹もスッカリ満たされて帰路につきました。

久しぶりの心地よい名古屋弁の環境の中で、多くの知識とたくさんの宿題をもらいました。3年後に専門医の申請ができるように、少しずつでも宿題を片付けていこうと思います。今回の経験を活かし、睡眠でお悩みの患者さんの訴えにこれまで以上に耳を傾け、日常診療を行っていこうと決心したところであります。

いびきや睡眠のお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

 

*このコラムは、愛知医大耳鼻咽喉科同窓会誌「かたつむり」に投稿した文章を改編したものです。