かみむら耳鼻咽喉科では、鹿児島市・薩摩川内市を中心に耳鼻咽喉科、アレルギー科の日帰り手術に力を入れております。最寄り駅は、JR『鹿児島中央駅』から直通の『川内駅』です。

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耳鼻咽喉科・日帰り手術・予約優先
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午後2:45~  5:30

耳掃除

このような方は耳鼻科で耳掃除をすることをオススメします

  • 高齢者(80歳以上の場合は50%以上が耳あかにより聴力に悪影響を及ぼしていると言われております)
  • 耳のかゆみや詰まり感を日常的に感じており、耳掃除を頻繁に(週1回以上)実施している方
  • 小さなお子様の耳あかが気になる(お子様のご家庭での耳掃除は危険です)

高齢者の耳垢栓塞

ご本人も気づかないうちに耳あかが溜まってしまい、聞こえが悪くなっているケースが多くあります。60歳代では10%、80歳を超えると50%以上が耳垢が聞こえに悪い影響を及ぼしていると言われています。
また聴力は認知症とも深く関係しています。耳が聞こえづらくなることで、聴覚からの刺激や脳に伝えられる情報が減り、認知症の発症や進行に影響すると考えられています。さらに、聴力が低下することでコミュニケーションを積極的にとることができなくなります。人の話を聞いて理解し、話そうとする機会が減るとますます認知機能が低下してしまうのです。認知症予防のためにも定期的に耳掃除及び聞こえの検査をすることをお勧めいたします。
大人の方の耳あかは通常自然に排出されるので触らないのが一番ですが、ご高齢の方は耳あかを排出する働きが弱くなり耳垢が溜まりやすくなってしまいます。ご高齢の方の場合、耳掃除で来院されてもその他の病気が見つかることもあります。

小さなお子様の耳垢栓塞

小さなお子様の耳は小さく、ご家庭での耳掃除は耳を傷つけてしまうことがあるので注意が必要です。
3ヶ月~6ヶ月に1回程度来院されることをおすすめしております。お子様の場合、耳垢をとってみると、その下に中耳炎など他の病気が隠れていることもあります。

耳掃除の料金について

耳鼻科での耳掃除は保険適用となります。
3割負担で1,000〜2,000円程度の場合が多いでしょう。
その他、処置や検査を行う場合は別途診察料や処方箋代など発生する場合があります。

よくある質問

  • 耳掃除をするためだけに、耳鼻咽喉科を受診してよいのでしょうか?
    医師によって考えが違うかもしれませんが、私は受診していただいた方がよいと思います。ご家庭で耳掃除をやり過ぎると、外耳道皮膚に炎症が起きる外耳炎になったり、誤って鼓膜を突き、鼓膜に傷をつけたり穴を開けてしまったりすることもあります。そのため、家庭での耳掃除は基本的にお勧めできません。また、耳掃除だけのつもりで受診したときに、気付かなかった耳の病気見つかることもあります。例えば、少し耳が詰まったような感覚があり、自分で「耳あかが原因だろう」と思っていたら、『低音障害型感音難聴』という内耳の病気や、『慢性中耳炎』や難治性の『外耳道真菌症』があったということもあります。自己診断は禁物ということです。耳あかの除去は私たち耳鼻科咽喉科医にとって基本的な処置です。「耳掃除のため・・・」とご遠慮されずに、いつでも耳鼻咽喉科を受診してください。
  • 耳あかはどうゆう人に溜まりやすいのでしょうか?
    耳あか(耳垢;じこう)は誰にでもあり、少々溜まることもありますが、病的に溜まる状態を耳垢栓塞といいます。湿性耳垢は、耳垢腺の分泌量も多く、固まりやすいので、乾性耳垢に比べて耳垢栓塞が起こりやすいのです。耳垢により外耳道を塞ぐことになるので、気づかぬうちに聞こえが悪くなっていたり、耳のかゆみや痛み、耳閉塞感といった様々な耳の訴えの原因になることもあります。健常な人は、耳垢栓塞の頻度は少なく30-40歳では2%程度、小児は外耳道が狭いため溜まりやすく5%程度です。一方60歳代では10%、高齢者は20-30%といわれ、老人ホームのような施設の80歳以上の超高齢者では50%を超えるという報告もあり、超高齢者では激増します。高齢者の場合、元々加齢による難聴もあり、コミュニケーションに食い違いが生じやすいところに、少なからず耳垢により聴力に悪影響を及ぼしていることがあります。近年、高齢者の認知機能に対して、聴覚刺激が大切であることが分かってきており、ぜひ耳鼻咽喉科の受診をお勧めいたします。
  • 耳垢の役割は何ですか?

    ネガティブなイメージのある耳垢ですが、体にとって大切な役割があり、大きく分けて以下の3つがあります。

    • ①外耳道を細菌の増殖を抑える感染防止や昆虫などの異物の侵入を防ぐ外耳道を保護する作用。
    • ②耳垢腺からの分泌物によりpH5.4前後の酸性環境が保たれることで菌の増殖を抑制し、外耳道の潤滑作用や乾燥防止という保護作用。
    • ③内部の老廃物を外耳道入り口に運ぶ、自浄作用(*注1)などがあります。

    *注1)外耳道には耳垢がたまらないという自己清掃システムがあり、これを外耳道の自浄作用といいます。鼓膜から外耳道の外側へ向かって皮膚が移動していく「migrationマイグレーション」という現象があり、外耳道の皮膚は表皮が奥から外へ剥がれ落ちることなくベルトコンベアー式に順に移動するのです。このような表皮の動きをするのは体の皮膚では外耳道だけです。その移動距離は1日に0.1mmといわれております。外耳道の長さは2.5-3 cm(外1/3~1/2;外耳道軟骨部、内1/2~2/3;外耳道骨部)です。外耳道狭部(軟骨部と骨部の境界)まで来ると、ここには耳垢腺や耳毛がありさらに移動しやすくなります。ここで一部表皮が剥がれ落ち、耳垢となって外へと移動します。また、外耳道狭部の下前方には顎関節があり、顎を大きく開けると外耳道内から顎関節が動くのが確認できます。つまり話をしたり噛んだりして顎関節を動かすと、耳垢や異物を外側に動かす作用が加わります。結果として3か月もすれば鼓膜についていた物や耳垢も自然と外まで出てくることになります。このマイグレーションを中心とした耳の自浄作用がうまく機能しておれば、耳掃除は医学的にはしなくてよい行為なのです。

  • 正しい耳掃除の仕方はありますか?
    耳掃除が毎日の習慣になっている人も多いのではないでしょうか。耳掃除は耳垢を掃除してすっきりすると同時に、耳の中にある快感を生じさせる「迷走神経」を刺激するため、「気持ちイイ」と感じます。この気持ちの良さに毎日耳掃除がやめられない方もいらっしゃいます。だからといって、毎日耳掃除をしている人は要注意です。
    耳掃除のやり過ぎはかえって危険です。過度の耳掃除は外耳道湿疹を引き起こしてしまいます。湿疹ができるとかゆみが増し、またいじってしまうという、悪循環になってしまうのです。耳垢は、外耳道の外側1/3程度、つまり「耳穴の入り口から約1.5cmより手前」まででしかできません。掃除をしてもいいのは、耳の入り口から1~1.5センチ程度で耳の毛が生えているところまでです。およそ綿棒の頭一つ分と覚えておきましょう。それより奥を耳掃除しても“全く意味がない”のです。
    自分で掃除をする際、綿棒や耳かきを絶対に耳の奥まで入れないでください。耳の奥まで入れることで耳垢を鼓膜のほうまで押し込み、結果的に耳垢がたまってしまいます。さらには、過剰な耳掃除は外耳炎を引き起こす恐れもあります。
    それでも耳掃除の気持ちの良さの誘惑についいじってしまう方に、耳垢のタイプ別の耳掃除の仕方をお伝えします(私見が多分に含まれておりますので参考程度にしてください)。耳掃除のコツとしては、耳の入り口近くにある耳垢だけを取るようにして、耳の奥の方の皮膚をこすり過ぎないようにすることが大切です。

    「乾性耳垢」の場合
    乾性耳垢の方は、耳掃除をしなくても良いくらいだとも言われています。しかしながら、やはり気になるという方は、綿棒または耳かきで耳の穴の外側1.5cmほどの部分を耳の壁を“なでるようにやさしく外に向かって掃くように”して耳垢を掻き出して下さい。綿棒の大きさは、大き過ぎると耳垢を押し込んでしまうので、赤ちゃん用の細いものを使うくらいでも良いでしょう。
    「湿性耳垢」の場合

    綿棒をそっと耳の穴へ1.5cmほど入れたら、螺旋を描くように外に向かって3~4回ふき取って下さい。
    耳には自浄作用がありますので、実は、健康な人であれば耳掃除は原則不要で、掃除しすぎるとかえって耳垢が耳の奥へと押し込まれ、耳穴を塞いでしまうこともあります。できれば、1-2カ月に1回程度で十分、多くてもせいぜい2週間に1回までにしましょう。
    2017年米国耳鼻咽喉科・頭頚部外科学会(AAO-HNS)から、耳垢に対するガイドラインが出ています。医師から患者に啓発すべき耳垢閉塞に関する「やるべきこと」「やってはいけないこと」を提示しています。下記をご参照ください。

    • ①過剰な耳掃除はやめましょう。過剰な耳掃除は外耳道の炎症や感染の原因となり、耳垢塞栓率が高まります。綿棒、ヘアピン、つまようじなどは耳を傷つけることがあります。これにより外耳道裂傷、鼓膜の穿孔、耳小骨変位が生じて聴力低下、めまい、耳鳴りなどを招く恐れがあります。
    • ②イヤーキャンドルを使わないように(これが耳垢塞栓を除去するという証拠はない)。
    • ③自宅でできる耳垢塞栓の改善法は医師に相談しましょう。耳垢を除去する方法の中には、なんらかの疾患があると安全に行えないものがあります。
    • ④耳痛、耳漏、または耳からの出血は医師の診察を受けましょう。これらは耳垢塞栓の症状ではないこともあり、詳しい検査が必要なこともあります。